第9章 切原家の朝
これは、フェリシアがリッカイジムへ行った日のお話。
現在時刻、9時。
今まさに出掛けようとしていたフェリシアの元に一本の電話がかかってきたことから始まる。
『もしもし、フェリか?』
「蓮二君?どうしたの突然電話なんかして」
『白波研究所から赤也の家はすぐだということは知っているな?』
「?えぇ、知ってるけど...」
『すまないが、赤也を連れてきてくれないか?今日赤也が寝坊する確率99%なものでな。何ならポケモンの技で起こしてもいい』
「...わかった。すぐに向かうね」
『頼んだぞ』
こうして電話が切れた。
「ヒコヒコ、ヒコッキャ?」(蓮二君、何だって?)
「赤也君迎えに行ってくれってさ」
「ヒコヒコ?」(何でまた?)
「赤也君が寝坊する確率99%なんだってさ」
「ヒコ」(納得)
赤也が常日頃から寝坊で遅刻しているのを知っているからこそ言える台詞である。
「とは言っても、すぐ起きそうだし大丈夫だよね」
なんて言っていたが、まさかとてつもなく手こずることになろうとはこの時はフェリシアもフィアンナも全く思っていなかったのだった。
「えーっと...赤也君の家って此処かな?」
赤也の家は白波研究所から徒歩5分。
フェリシアは家のインターホンを押した。
ピーンポーン
「はーい!どちら様?」
ややあって出てきたのは一人の女性。くせっ毛が何となく赤也に似ている。
「おはようございます。リッカイ学園6年のフェリシアといいます。赤也君いらっしゃいますでしょうか?」
「まぁまぁ!貴女がフェリシアさん?!いつも息子から話は聞いてるわ!」
「あの、その赤也君は...?」
「あぁ、ごめんなさいね、まだ寝てるのよ。今起こして来るから待っててくれる?」
「あの、蓮二君から起こして来てくれって頼まれているのですが...」
「あら本当に!じゃあ上がってちょうだい!あの子の部屋はこっちよ」
「ありがとうございます。お邪魔します」
「ヒコヒーコー」(お邪魔します)
こうして、赤也の母の案内の下、フェリシアは赤也の部屋へと入っていった。