第23章 *どんな君も*〜赤司征十郎〜
「っ!?い、いや、別に、可愛くなりたかっただけだし…」
…本当、言わなければよかった。
慌てて否定するけど、恥ずかしいって気持ちは全部顔に出てて、赤司君にはバレバレだ。
「香奈は十分可愛いよ。出会った時から、そう思っていた。」
「可愛くない…。」
ほら、今だって。
こんなに無愛想なのに、どこを可愛いなんて言えるの?
「可愛いよ。僕が好きになった人だからな。だから、不安にならなくても…」
「じゃあ、赤司君はあたしのどこが好きなの!?」
そう言った後に、ハッとした。
誰もいないとはいえ、感情的になりすぎた。
「ごめん…。」
「謝らなくてもいい。そうだな…。僕は、君の全てが好きだ。」
そう言って、赤司君はあたしの頬に手を添えた。
「自分の気持ちに正直なところも、他の人には平等に接するところも、もちろん、この長い髪もね。
まぁ、伸ばした理由が自分が劣ってると思っていたからなのは、納得できないが。」
「うっ…。あ、赤司君、もういい…!」
そんな淡々と言われても、頭がついていかない。
何でそんな、平気そうな顔で言えるの…。
こっちはすごいドキドキするのに。
「だから、少しは自信を持て。お前は僕の、彼女なんだ。」
「は、はい…。」
恥ずかしくて、つい敬語になる。
そんな私を見て、赤司君はくすっと微笑んだ。
「それでいい。」
極力俯いていたあたしへの、不意打ち。
優しく両頬を包まれ、キスをされた。
「なっ!?こんなとこで何して…っ!」
「そんな赤い顔も、好きだよ。」
その言葉を聞いて、本当、愛されてるんだなって…そう思った。
*どんな君も*
何をしてても、
どんな事を思ってても、
僕は、君がずっと好きだ。