第21章 *Re:授業中*〜森山由孝〜
私はね、森山君に会いたいよ。
でも、直接そんな事書けないから、遠回しな言葉を使った。
授業が早く終わってほしい、なんて、森山君に会いたいからに決まってる。
せめて、クラスが同じだったらなぁ…
『ヴー、ヴー…』
『件名Re:Re:Re:Re:Re:
本文
俺も。
早く香奈に会いたい。』
…やっぱり、訂正。
同じクラスじゃなくてもいい。
こんな赤面、見せられないから。
『件名Re:Re:Re:Re:Re:Re:
本文
私も森山君に会いたいって思ってた。
同じだね。』
それに、本当なら隠しちゃう本音も、メールでなら伝えられるから。
正直になれない私の、特別な時間。
森山君とメールしてる時は、それ以外の事なんて考えられない。
『ヴー、ヴー…』
ケータイが震えて、すぐ反応して。
森山君も、こんな事してくれてたら、いいな。
『件名Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
本文
香奈、今顔真っ赤だろ?
その顔が見たい。
好きだよ、香奈。』
この言葉は、私に好かれるためじゃなくて、本音だったらいいな。
だって、すごく嬉しかったから。
『件名Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
本文
森山君も顔赤いでしょ?
私も、好きだよ。
大好き。』
メールを送って、私は、ギュッとケータイを握った。
*Re:授業中*
増えるRe:の数は、
授業中の想いの数。
早く、あなたに会えないかな。