第21章 *Re:授業中*〜森山由孝〜
香奈side
『ヴー、ヴー…』
手で握っていたケータイが震える。
…きた。
机の中でこっそりケータイを開けると新着メールが一件。
それは、彼氏の森山君からだった。
『件名Re:
本文
いいよ。』
絵文字が一切ない、男子らしい文。
それは、確かに私のメールへの返信だった。
今は、授業中。
だけど私達は、いつもこうやってメールをしている。
もちろん、誰にもバレないようにね。
今日も、
『件名
本文
メールしない?』
と送ったら、いいと返事がきた。
何て送ろうかな。
『件名Re:Re:
本文
森山君は、今、何考えてる?』
メールが送信されたのを確認して、返信を待つ。
授業中なのに、自然に頬が緩む。
ヤバ、先生に見られた…。
咄嗟にノートに文字を書くふりをしたら、先生の視線がまた黒板に向いて、私はホッとした。
『ヴー、ヴー…』
安心してる時、メールがきた。
『件名Re:Re:Re:
本文
可愛い子に会いたい』
森山君らしいメールに、また頬が緩んだ。
『件名Re:Re:Re:Re:
本文
そっか。私は、早く授業終わらないかなーって考えてたよ。』
森山君の中の『可愛い子』が私でありますように、なんて願いながら、メールを送る。