第20章 *嘘言葉*〜高尾和成〜
「なんかこーやって話すの、久しぶりだな。」
「そうだね。」
放課後、隣の席に座って話してさ。
前ならいつもやってたのに、今はこの時間も特別。
「…和君。」
「ん?」
「あたしはね、ずっと、嘘ついてたの。」
零れそうになる涙を、上を向いて必死に流さないようにした。
「でももう、その必要もなくなっちゃった。
…あたし、和君が好き。」
嘘の無い言葉で気持ちを伝えたら、苦しかった呼吸が楽になったように、スッキリした。
和君はビックリしてた。
だけど、また笑顔で、
「俺も嘘ついてた。
俺だって、香奈が好き。
だけど、それ言ったら香奈との距離が遠くなる気がして、言えなかったんだ。
傷つけてから気づくなんて…遅いよな。」
そう言ってくれた。
あたし達は、辛い、苦い、でも嬉しい気持ちを分かち合うように、キスをした。
*嘘言葉*
嘘言葉は、自分も相手も傷つける。
だけど、それが傷つけた後でも、
本当の事を告げるのは遅くないから。