第20章 *嘘言葉*〜高尾和成〜
香奈side
『あの二人って、付き合ってんでしょ?』
『そーそー。美男美女でお似合いだよね!』
『え?どの二人?』
『だからー、
香奈と高尾君だって!』
確かに仲はよかったし、和君の事が好きだったあたしは、この噂を聞いて一人で浮かれてた。
「本当お似合いだよねー。香奈と高尾君。」
「何の事?あたし達、付き合ってないよ?別に好きでもないし。」
だから、この言葉は半分本当で半分嘘。
いつもそうやって、嘘と本当の混じった曖昧な言葉で噂を否定してた。
だから、罰が当たったんだ。
『あの二人、お似合いだね。』
『当たり前じゃん!だって、
高尾君と××ちゃんだよ?』
噂で、『高尾君と』の次にくるのも、
クラスの誰かがふざけてハート付きの傘の中に書く、『高尾』の隣も、
いつも一緒に隣で笑いあってるのも、
いつのまにか、それは私じゃなくて、あの子で。
自業自得。
分かってる。
だけど、他にどうしろっていうの?
嘘ついて、否定して、傷ついて。
もう疲れ切っちゃった。
だから、あたしは…
「和君、話があるの。」
放課後、和君を引き止めた。