第14章 *二重人格*〜日向順平〜
香奈side
「日向先輩、助けて下さい!」
昼休み、彼氏である日向先輩に助けを求めてから、数時間後。
私は、先輩の家にお邪魔していた。
「…とりあえず、うん。見せてみろ。」
「は、はい…。」
そう言って私は、先輩に一枚の紙を差し出す。
先輩はそれを見た瞬間、顔を引きつらせた。
「…ひでーなおい。」
「だ、だって…
歴史苦手なんですよ!」
クラッチタイム寸前の先輩に、意味のない言い訳をする。
…先輩に助けを求めた理由、それは、今日返された定期テストの中で、歴史が最悪だったからだ。
人生初の、三十点以下。
あまりのひどさに、歴史が得意な先輩に教えてほしいと頼んだところ、呆れ顔をしつついいと言ってくれた。
でもまさか、これほどとは思ってなかったらしい。
「苦手なんですよじゃねーよ!そんなんで許されるような点じゃねえんだよ、だアホ!人生一からやり直せ!!」
「そんな!先輩あんまりです!!」
クラッチタイムにはいってしまった先輩に真面目にやりますからー!と必死にお願いして、なんとか勉強会が始まった。
「…で、ここは…って卑弥呼じゃねーよ!?」
「ええっ!?違うんですか!?」
だって、卑弥呼すごい人だって習ったから、てっきり憲法決めたり、十人の話を聞いたりできたんだと…。
あれ、でもそれ…聖徳太子…?
「つか、漢字くらい覚えろ!平仮名で「ひみこ」ってなんだよ!やる気あんのか!?」
「ありますよ!…記憶力がないだけです。」
「…勉強やめるか?」
「すいませんでしたっ!!」
土下座でもしそうな勢いで謝ると、それに負けたのか、ため息をつきながらも優しく教えてくれた。