第12章 *隠して*〜赤司征十郎〜
少し不思議そうな顔をした香奈だったが、またすぐに優しい笑顔になった。
「ありがとう」
「いや…ちょうど香奈と帰りたいと思ってたところだから。」
「本当?実は、私も。」
傘からはみ出ないようにお互い寄り添いながら、通学路を歩いて行く。
雨のせいか、時間のせいか、人通りは少なかった。
「…そうか。」
「ふふっ。本当はね、今日部活なかったし、デートとかしたいなって思ってたんだけど…雨、だね。」
…また僕の本音と同じ事を言い、少し悲しそうに笑う香奈。
「…香奈。」
「なに?…んっ////」
傘で二人を隠して、僕は香奈にそっとキスをした。
唇を離すと、真っ赤になった香奈が、キョロキョロと辺りを見回した。
「…大丈夫。香奈のその可愛い顔は、僕にしか見えてないよ?」
「////そ、そういうのは二人の時に…」
「僕がキスをするのに、いつなんて関係ないんだよ。」
*隠して*
いつとかは関係ないけど、
その顔は僕以外に見せたくないから、
こういうキスもありだろう?