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Sweet Love*

第11章 *遠回り言葉*〜木吉鉄平〜


香奈side


…ある日の放課後のこと。
部活が終わって家に帰ろうとしてた時、雨が降り出した。
でも、折り畳み傘があるから大丈夫だと思っていた。


「…あれ、教室に忘れたかな?」


だけど、鞄に折り畳み傘は入ってなかった。
あたしは毎日鞄に折り畳み傘を入れてるから、忘れたんだろうと思い、教室に取りに行った。

教室前まで来て、女子数人の話し声が聞こえた。
クスクス、と笑う声が聞こえて、入りにくいな、と思っていた時。


「あたしなんかさー。「重いなら、いいなさいよ。そしたら、手伝ってあげないこともないわよ?」って言われたんだよねー。意味分かんない」


「だよねー。つか、何様?自分が嫌われてるっつー自覚症状がないわけ?」


「本当ウザイよねー。




遠野って。」


「…っ」


それは、あたしの悪口だった。

確かに、あたしは思ってる事を伝えるのが苦手だ。
いつも遠回りに言ってしまう。
だから自業自得、なのに…

涙が零れそうになって、あたしは、傘をささないで外へと飛び出した。


「ふっ…う…ぐすっ…」


誰もいない道を歩いて、声を押し殺しながら泣いた。
涙は、雨で流された。
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