第84章 *待ち時間*〜高尾和成〜
香奈side
『すぐ終わるから、待ってて!』
そう言われてから、かれこれ三十分が経とうとしていた。
今日は、和成の家でデート。
…の予定だったんだけど、理由も聞かされないまま、私は和成の部屋で待つ事になった。
部屋の外からは、『何やってんの!それじゃ溶けるって!』とか、『じゃあどうすればいいんだよ⁉』とかいう声が聞こえる。
何してるのかなぁ…。
「…和成ー」
「ん?何ー?」
「何してるの?美姫ちゃんと一緒なんでしょ?」
美姫ちゃんは、和成の妹。
和成と幼馴染の私は、美姫ちゃんの幼馴染でもある。
だけど、今まで二人が何かしてるのってあまり見た事ないから、気になってしょうがない。
「直接は教えられないから…じゃあ、ヒントで
「バカ兄!何やってんの、それダメだってば!」
和成の言葉は、美姫ちゃんに遮られた。
悪気はないんだろうけど、言葉の続きが気になる。
結局、その言葉を聞くタイミングは見つからず、ただ和成を待ち続けた。