第83章 *心の準備*〜黒子テツヤ〜 request
「じゃあ、行こ!」
黒子君の手を引っ張り、廊下に出ようとする。
だけど、その手は逆に黒子君に引っ張られてしまった。
「わっ!」
見た目とは違って強い力に驚いていると、トン、と音がして、黒子君に抱きしめられた。
「…まだ気づかないんですか?」
「え、な、何に…?」
「何で僕が、香奈さんにここで食べてほしいと言ったかです。」
そんなの、分かるはずがない。
だって、何も教えてもらってないし。
「心の準備、ってやつです。」
「え、何で?」
そんな事する必要、ない気がするけど…。
「香奈さん。」
「ん?」
「…好きです。」
ドキン、と心臓が高鳴った。
す、すき…?
き、聞き間違いじゃないかな?
「っ…今、す、好きって言った…?」
「確認しないでください…っ」
抱きしめられてて、黒子君の顔は見えない。
けど、ドキドキという音で、今真っ赤なんだろうなって思った。
「準備なんてしなくてよかったのに。」
ふふっと笑えば、何でですか?と返ってくる。
「だって、答えは決まってるもん。」
好きだよ。
…ずっと前から、ね。
*心の準備*
準備はいらなかったけど、
緊張してくれてたのは、
嬉しかったよ?