第83章 *心の準備*〜黒子テツヤ〜 request
香奈side
「どうですか?」
「お、美味しいよ…」
「よかったです。」
美味しいけど…
そんなガン見されたら、味も分からなくなるよ!
「あ、あの、黒子君…?」
「何ですか?」
「…帰らないの?」
放課後、皆はとうに帰ってしまった教室。
そこで私は、黒子君からもらったホワイトデーのチョコを食べていた。
黒子君に今食べるよう言われたからだ。
にしても、何で今食べるのか、何でガン見されてるのかが分からない。
私達が二人になったのも、黒子君が忘れ物をして戻ってきたからなのに、当然のように黒子君は帰ろうとしなかった。
「帰りませんよ。香奈さんが一人で帰るのは、危ないですから。」
「それじゃあ、帰ろうよ。チョコは帰ってからでも…」
「いえ、今食べ切ってください。」
本当、黒子君は何をしたいんだろう?
黒子君の考えてる事は読めないなぁ…。
「あ、黒子君、終わったよ。」
黒子君の視線を出来るだけ気にしないようにして食べていたら、チョコは全部なくなっていた。