第79章 *涙*〜花宮真〜
やっぱり、嫌いにはなれない。
ああ、ダメだ。
泣かないようにって文句言ってたのに、逆効果。
でも、もう家着いたし…いいかな。
「っ…」
「何泣きそうになってんだよ。」
「なっ…まこちゃん…⁉」
だけど、全然よくなかった。
家の前には、あたしの涙の原因であり、一番今の姿を見られたくない人…まこちゃんが立っていた。
「さっきから俺の事バカとかなんとか言いやがって…。」
「聞いてたの…?」
「聞きたくなくても聞こえたんだよ!」
ああ本当、最悪。
絶対嫌われた…
ううん、もう嫌われてたか。
とっくのとうにさ。
「…ごめんね、まこちゃん。」
「は?…何でお前が謝んだよ?」
「だって…!」
あたし、迷惑でしょ?
そう呟いた次の瞬間、無理矢理顔を上げられた。
「んっ…」
唇に温もりを感じる。
何で?
何で今更、優しくするの…?
ねぇまこちゃん。
そんな優しいキスされたら、
もう、止められなくなるよ…
「俺が悪かったっつーの。
…お前の事、嫌いになるわけねーだろ。」
その言葉を聞いて、また涙が溢れてくる。
そんなあたしの涙を拭って、まこちゃんは、
「これ食べて、泣くのやめろよ。」
と言ってクッキーの入った包みを渡してくれた。
「これって…」
「…ホワイトデーの////」
それだけ無愛想に言って、そっぽを向いてしまう。
それが嬉しくて、あたしはその頬に軽くキスした。
その後、まこちゃんが顔を背けたままバーカバーカと言い続けてたのは、また別の話。
*涙*
涙は、
もしかしたらだけど、
君が正直になる魔法かもしれない。