第78章 *早歩き*〜青峰大輝〜
後ろ姿を見ていても、耳が赤いのが分かる。
その姿を見て、少し嬉しくなった。
なんて考えていたのもつかの間。
香奈「きゃっ!」
駆け足だったためか躓いてしまい、転びそうになった。
『どさっ』
香奈「んっ…」
だけど、私の体は倒れる事はなく、大輝君に支えられていた。
それと同時に、唇に温もりを感じる。
一瞬何をされたか分からなかったけど、少し経って、それがキスだと気がついた。
青「い、今の…なかった事にしろ…////」
香奈「…大輝君、顔赤いよ?」
青「 うるせーよ!////」
私が大輝君の顔を覗き込むと、何かを顔に投げつけられる。
手で受け止めて見ると、それは小さい箱だった。
香奈「…?これ…」
青「今日ホワイトデーだろ。…だからだよ」
香奈「私に!?わぁ、ありがとう!」
この言葉にさえ、赤くなってしまう大輝君。
何でそんな顔してるのかは分からなかったけど、でも、その顔を見ていると自然に笑みが零れた。
青「…何笑ってんだよ」
香奈「ふふっ、だって…大輝君、緊張してる?」
青「ったりめーだろ////」
その後、
青「いつも振り回されっぱなしだっつの…」
と呟いていたのを、私は聞き逃さなかった。
*早歩き*
早歩きは、君の照れ隠し。
その仕草を、
もっと私に見せてほしい。