第74章 *君の想い*〜桜井良〜 request*
自分でもどうしたいのか分からない。
ただ、気付けば僕は、机から香奈さんにあげようと思ってたチョコを出していた。
「その…え、えっと…これ、ち、チョコです!」
緊張して、噛んで、でも何とかチョコを渡せた。
もっといいタイミングはなかったのか…とか、緊張しすぎた、とか色々後悔したけど、遅かった。
「わ…ありがと、良!良って料理上手なんだよね!?嬉しい!来年になっちゃうけど、チョコ返すね!わぁぁ、今までの友チョコの中で一番美味しそう!」
その笑顔にさらに鼓動が高鳴る。
だけど、嬉しいはずなのに、僕は物足りなくて、香奈さんを抱きしめた。
「り、良…?」
「…友達としてじゃ、ありません。」
今なら、この気持ちを伝えられる。
そんな気がした。
「香奈さん、好きです。」
「え…?」
「少しは、可愛いだけじゃないって…思ってくれましたか?」
少し抱きしめる腕の力を緩めて、香奈さんの顔を見れば、
「そんなの…最初から、思ってたよ////」
僕の初めて見る真っ赤な顔で、そう答えてくれた。
*君の想い*
自分の想いと、君の想い。
いつか、想いが重なれば、と、
今までずっと願ってた。