第74章 *君の想い*〜桜井良〜 request*
桜井side
「良ー!ハッピーホワイトデー!」
「え、えっと…」
何て返せばいいか分からず、戸惑う。
取り敢えず、
「ノリ悪くてスイマセン!」
「あはは、いいのいいの!あたしが言いたいだけだし!」
そうやって笑ってくれるのは嬉しい。
友達以上の関係はないけど、僕は、香奈さんのその笑顔を見て、香奈さんが好きになったから。
だけど…
「それに、良のそのオドオドしてる顔、可愛くて好きだし!」
最近可愛い可愛いと言われるのは、嬉しくない。
それってつまり、意識されてないって事ですよね…。
ああ、意識されたいなんて高望みしてスイマセン!
「良は誰かにチョコあげたの?」
そんな僕の思いを香奈さんが知るはずもなく、話はどんどん進んでいく。
いきなり質問されて、かなり動揺した。
「えっと…部活の皆さんになら…」
「あ、そっかぁ。本命はいないんだ?」
目の前にいるし、作っては来てるけど…いざとなると渡せる気がしない。
意識もされてないみたいだし、きっと迷惑ですよね…。
「あたしはバレンタインの時のお返しもらったよー。っていうか、一人チロルで返されたんだけどね。」
そう言ってケラケラと笑う香奈さん。
香奈さんは、バレンタインの時男子にあげたんだ…。
それを見てたら、胸が痛んだ。
そして、不安が込み上げてきた。
「香奈さん!」