第73章 *チョコ、告白、キス*〜笠松幸男〜 request*
香奈side
「笠松君また上手くなったね!すごいなぁ〜!」
「っ…さ、サンキュ…」
あたしが話しかけるのにも、真っ赤になって返す彼。
笠松君とセッションするようになったのは、三ヶ月前。
最近は、少しずつだけど話せるようになってきた。
「私、また間違えちゃったよ。ここが難しいんだよねー…」
そう言って、私はドラムを叩いて見せる。
私はドラム、笠松君はギター。
こうやってお互いの音を聞く時間が、いつの間にか一番楽しみになっていた。
「そういえば、笠松君バスケもやってんだよね?」
この前友達が黄瀬君を見に行きたい…と言って、連れていかれた体育館。
バスケに興味はなかったけど、笠松君がいてびっくりしたなぁ。
…なんて事を考えてふと笠松君を見たら、
「だっ、大丈夫!?顔赤いよ!?」
笠松君が顔を真っ赤にしていた。
熱かな?
不安になって額をくっ付ければ、硬直してた笠松君が慌て出す。
「なっ、何でもねぇ!から!」
結局、よく分からないままその日は終わった。
…次の日。
「笠松君、今日はホワイトデーだねー!」
「…ああ。」
今日は、三月十四日だった。
俗に言う、ホワイトデー。
だけど、そんな日も私達はいつもと変わらず過ごしていた。
「それでね、私もクラスメイトからチョコもらったんだけど…「香奈」
と、笠松君が私を呼んだから、話をやめる。
よく考えれば、私ばっかり話してて…迷惑だったかも。
だけど、笠松君の表情は怒ってるわけじゃなくて、ただ、真っ直ぐに私を見てくれてた。
こんな表情、初めて見る。
「香奈…俺、
香奈が好きだ。その…つ、付き合って…下さい…っ」