第71章 *回答*〜伊月俊〜
香奈side
伊「きちんとしたチキン!キタコレ!」
香奈「伊月うるさい」
キッと睨んでも、気にしない様子のこいつ…伊月は、あたしが委員長を務める風紀委員会の委員。
毎日毎日、委員長がこなす仕事を手伝ってはダジャレを言ってくる伊月は、手伝ってくれてるのか邪魔してるのか分からない。
伊「アルミ缶の上にあるミカン!」
香奈「…」
ツッコのも疲れたから無視すれば、しゅんとする伊月。
…しゅんとする俊?
いや、何考えてんのあたしは。
そんな事より、あたしには最近気になることがある。
大した事じゃないんだけど…
伊「委員会サボっていいんかい!」
香奈「よくないわ」
…やっぱり。
伊月は、あたしがツッコめばどことなく嬉しそうな顔をする。
だけど、無反応だと落ち込んだ表情になるのだ。
伊「司会の歯科医が視界の隅で死海に飛び込んだ!」
香奈「長くない?」
そんな反応でさえも、伊月は嬉しそう。
…変な奴。
香奈「…伊月。」
伊「ん?」
香奈「何でそんなに、ツッコミされる度嬉しそうなの?」
ダジャレを書き留めるノート…本人曰く『ネタ帳』に何やら書いていた伊月は、あたしの言葉にポカンとしていた。
香奈「ほら…あたしが見る限り、無反応だと落ち込んでるのに、ツッコミすれば嬉しそうっていうか…。ツッコミって、やっぱ嬉しいの?」
あたしがそう付け足せば、理解してるのかしてないのか、あー…と曖昧な言葉を発する伊月。
伊「嬉しい、な、うん。」
香奈「ちょっと、何それ?何隠してんの?」
あたしに問い詰められて、少し困った表情になってたけど、気になるからやめない。
何度か聞いたら、伊月はようやく口を開いてくれた。