第65章 *本当のキミ*〜日向順平〜
暗くて何も見えない部屋。
ベッドに手をついて起き上がると、起きた時には気づかなかったけど…何かが上に乗ってるのに気がついた。
香奈「ん…?」
どうなってるのか分からない。
でもこの感じ、何か慣れてるような…
香奈「っ!?////」
そうだ、この感覚…
先輩に抱きしめられてる時の…
じゃあ今、抱きしめられてるの?
いつもは身長差もあり、包まれるような抱きしめ方だけど、今のは違う。
あたしの首元に顔を埋めて、腰に手を回されて…
あたしが包む側になってる。
日「ん…香奈…?」
香奈「あっ、せ、せんぱっ、おはようございましゅっ!」
いつもと違う抱きしめ方だと思ってたら、先輩が起きたみたいで動揺した。
香奈「で、電気つけますか…?」
日「まだ、離れたくねー…
もーちょい、暗いままじゃダメか…?」
いつもと違う、甘ったるい言葉に困惑する。
ギューッとあたしを抱きしめる力を強める先輩は、ダメかと聞きつつも、離す気はないらしい。
香奈「…いい、ですよ。」
先輩の頭を優しく包むように抱きしめれば、きつく締めてた腕を緩めた。
日「あと…敬語と先輩っての、やめろ…」
香奈「へっ?」
日「ただの先輩じゃなくて…彼氏、だろ////」
ああ、もう。
いつもは厳しい癖に、不意打ちで甘えるから、調子狂う。
でも…そんな先輩が、好き。
香奈「大好き、順平////」
日「…ん////」
明日になってもこんな時間が続きますように、と願いを込めて、あたしは目を閉じた。
*本当のキミ*
本当のキミ。
それは、二重人格の裏の裏。
実は…甘えたがりなんです。