第8章 ボカロ*告白予行練習*〜黄瀬涼太〜
…朝。
適当にニュースをつけて見ると、おは朝占いの時間だった。
『今日の一位は、蟹座!告白には最適な日でしょう!そんな蟹座のラッキーアイテムは、ケータイストラップ!お守りも効果的でしょう。』
ケータイストラップか…
そういえば、前涼太がモデルの仕事でどっか行った時、お土産にって買ってきてくれたのがあった。
あれ、つけてこっかな。
その日は、いいこと続きだった。
授業の問題はスラスラ分かるし、体育では跳び箱の自己記録を更新できた。
そして何より、涼太がストラップに一番に気付いてくれた。
その一方で、私には、『その時』が少しずつ迫っていた。
…放課後。
もう一度練習したいと言って、私はまた涼太に残ってもらった。
「好きなんです!好きでした!好きなんだYO!アイラビュー!!」
「ちょ(笑)真面目にやってほしいっス(笑)」
「香奈ちゃんあなたが好きすぎるの!」
「あははっ!あー、でも、きっと香奈なら即OKっスよ。こんなに可愛いんだし。今日、告るんスよね?」
「う、うん…」
か、可愛いって…////
「応援してるっスから。…頑張って。じゃあ、俺今日は先帰るっスね。」
…涼太…?
何で、そんな寂しそうな顔するの?
それがヤキモチだったら、なんて期待するけど、私はその顔を見てられなかった。
「待って!」
気付いたら、叫んでいた。
手を掴むだけじゃ行ってしまいそうで、私は涼太に後ろから抱きついた。
「嘘つきでごめんね。
好きな人なんていないの。…涼太以外に。
私…涼太が、好きです。」
やっと、伝えられた。
練習じゃないよ?
これは、本番。
そっと腕を離すと、
私と涼太は、夕焼け色の教室でキスをした。
*告白予行練習*
練習なんて、
本当は一つもなくて。
私にとっては、全部本番だよ。