第64章 *特別扱い*〜緑間真太郎〜
「なっ、何でもないのだよ!////」
「えー、そう言われると気になるよー。」
必死に隠す真ちゃんの手をグイグイと引っ張って、話すよう促す。
何分かそのやり取りを続けた時、はぁ、というため息が隣から聞こえた。
必要ないのにメガネを押し上げるのは、何かを話す時の癖。
「…左手がテーピングされてるから…香奈がテーピング越しで手を繋ぐのは嫌かと思っただけなのだよ。」
…え?
真ちゃんの言葉に、ポカーンと口を開け、呆気にとられる。
「え、えええっ!?うっそ、気にかけてくれてたの!?」
「気にしてなかったなら別にいいのだよ!忘れろ!」
恥ずかしさ故にか逆ギレされるけど、それさえ嬉しくて。
「いや、気にしてないっていうか…そんなわがまま、聞いてくれるの?」
「…お、お前は特別なのだよ////」
「じゃ、じゃあ…テーピング、とってほしいな…////」
赤くなりつつもテーピングを外してくれる真ちゃんにつられて、あたしもドキドキする。
初めて感じるテーピング越しじゃない左手は、慣れなかったけど…自然と頬が緩んだ。
*特別扱い*
左手に触れられるのも、
特別と言われるのも、
全部、あたしだけだといいな。