第64章 *特別扱い*〜緑間真太郎〜
香奈side
「真ちゃんお待たせー!」
「…そこまで待ってないのだよ」
声をかけただけで、ちょっと赤くなってそっぽを向く、可愛いあたしの彼氏。
真ちゃんとは付き合い始めて三ヶ月。
今日は、二人で久々のデートの日。
最近部活とか忙しくてなかなか出来てなかったから…今日が嬉しくて、今日のために新しい服を買ったほどだった。
「じゃあ行こーっ!」
真ちゃんの左手を引っ張って歩き出す。
「…左手でいいのか?」
「ん?だってあたし右利きだし。真ちゃん左利きだから、ちょうどいいでしょ?」
そうか、と言ってまた前を向く真ちゃんを見て、変なの、と思ったけど、それ以上にワクワクして、すぐ忘れてしまった。
「真ちゃーん…まだ離れたくないー…」
「家まではまだ遠いのだよ。」
帰り道。
腕を絡めて真ちゃんの腕に頭をくっつければ、やっぱり視線を逸らされる。
可愛いなぁ、もう。
「あ、そういえば、待ち合わせ場所で言ってたの、結局何だったの?」
「?」
「ほら、左手がどーのこーのってやつ。」
今もまた同じ状況で、ふと思い出した。
いいのか?って言ってたから、怪我とかではないだろうし…