第55章 *恋人証明*〜高尾和成〜
香奈side
『…また来てね、和成君////』
あの日から、一ヶ月。
私達は今では、彼氏彼女という関係になっていた。
付き合い始めたのは、つい最近。
その頃には、かなり和成君には慣れていた。
あんなに人見知りだったけど、今となっては和成君は例外。
触れるのは…まだ、慣れないけど。
そんな私達は、今、和成君の部屋にいる。
「…」
「…」
せっかくのお家デート。
なのに、和成君はなぜか不機嫌で。
『何で怒ってるの?』って聞いても、『別に』って返されるし。
…私、何かしちゃったのかな?
「か、和成君…」
「…何」
やっぱりイライラした声。
疑問符もつかない言葉に、怖さを覚えるけど、逃げちゃダメだ、と何とか声を出した。
「ごめん…私、何かしちゃった、よね…」
正座した足に乗った手が、若干震える。
涙目になってる時点で、私、本当ダメだな、と思った。
「…違う」
「え…?」
「俺が考えてたのは、逆の事。」
逆の事?
何かした、の反対って事?
「…香奈ちゃんさぁ、慣れないのは知ってるけど…何もしないしょ。チューしたのだって、あの日だけだし。」
さっきとは違って、頬を膨らませて拗ねるようにそっぽを向く和成君を見て、私は思わず笑ってしまった。