第54章 *愛情表現*〜高尾和成〜
俺はずっと、香奈ちゃんに話しかけた。
面白い話をすると、香奈ちゃんは少し笑った。
その笑顔に、俺まで真っ赤になって、隠すのに必死だった。
香奈ちゃんは一度も話さなかったけど、楽しそうに聞いてくれてた。
「あ、俺、次の授業の準備あるから、そろそろ行くね。」
結構仲良くなれたと思う。
俺は、いつになくテンションが上がっていた。
俺が立ち上がると、香奈ちゃんが俺の手を優しく引っ張った。
「ん?」
香奈ちゃんに合わせて屈む。
香奈ちゃんの目は、見てるだけで吸い込まれそうだった。
すげー綺麗…
『チュッ』
「んっ…!?////」
ふと触れた唇に、かぁっと顔が真っ赤になる。
俺、キス…されてる!?
俺がドキドキしてる間に、いつの間にかキスは終わっていた。
名残惜しい、なんて、おかしいかもしれないけど…
「…また来てね、和成君////」
屋上から去る後ろ姿を見て、ああ、俺、香奈ちゃんの事好きなんだって気づいた。
*愛情表現*
会話が苦手な君にとって、
キスは、
きっと精一杯の愛情表現。