第53章 *本気の告白*〜黄瀬涼太〜
香奈side
香奈「…黄瀬くーん」
黄「…すぅ…」
香奈「勉強会中に寝るなんて、いい度胸だね?」
机に突っ伏して規則正しい寝息を立てる黄瀬君に話しかけてみる。
…聞こえてないんだろうけど。
黄瀬君は、モデルも部活も大変で、両立してるのはすごいってのは分かるけどさ。
香奈「頑張ってくれないと、留年…しちゃうよ。」
未だに起きる気配がない黄瀬君の頬を、指でツンツンとつつく。
あたし達は、さっきまで一緒に勉強をしていた。
黄瀬君の頭の悪さに呆れた先生が、仲が良く頭も結構良い方のあたしに頼んできたからだ。
ただ、ふと黄瀬君の方を見ると、いつの間にか寝てしまっていた。
香奈「…綺麗。」
大体、先生も、あたしに頼んだのが間違いってもんですよ。
あたしだって、仲が良い友達ってだけじゃなくて…好きなのに。
おかげで、普通起こさなきゃいけないあたしまで、黄瀬君の寝顔に見とれてしまった。
…ダメだ、起こさなきゃ。
香奈「黄瀬君、起きて。」
黄「ん…もう朝ッスかぁ…?」
近くで声を掛けると、机から顔を上げた。
やっと起きた。
香奈「何寝ぼけてるの、今勉強中だったでしょ。」
黄「あ、そーだったッスね…」
モデルとは言い難い、ポーッとした顔をする黄瀬君。
寝ぼけてるな、こりゃ。
黄「っていうか、もう終わったんスよー…」
香奈「本当?…あ、本当だ。」
黄瀬君のノートを覗き込むと、文字の列。
少しでも理解しやすいよう、簡単な言葉に変えて書かれた問題は、確かにあたしが出した問題だった。
しかも…かなり教えたからか、全問正解。
簡単な問題とはいえ、大きな進歩だ。