第52章 *Happy Birthday 2/13*〜森山由孝〜
「じゃあ、性格も良くなるにはどうしたらいいんだ…」
「先輩はそのままでいいです。私にも、少しくらい可能性があってほしいですから。
…ダメですか?」
だって、先輩に遠くに行ってほしくない。
私は…今の先輩が好きになったんだから。
「可能性も何も、香奈ちゃんにかっこいいって思われたいからだよ?」
「へっ!?」
冷静な声にドキッとする。
これは緊張とかじゃなくて、驚きの方だった。
「香奈ちゃん、好き。」
きゅっと、抱きしめる力を少し強められる。
「…私も、です…////」
息苦しい。
両想いって、片想いの時よりドキドキするんだ…。
だけど、両想いって、あったかい。
先輩の温もりを感じられる。
「その…き、キスしてもいいか?」
「聞く事じゃないです…////」
「わ、悪い…////」
『チュッ』
私も先輩も、緊張したぎこちない動作で唇を重ねた。
「〜〜っ…////」
多分、先輩も初めてだったんだろう。
言葉にならない、という感じで、顔を真っ赤にしている先輩は新鮮だった。
「森山先輩、誕生日おめでとうございます。」
「…もう、俺はただの先輩じゃないよ?」
ああ、そうですよね。
それじゃあ、改めて、
「誕生日おめでと、由孝。」
「っ!!////」
今日初めての笑顔で言うと、由孝はまた真っ赤になって、驚いた顔をしていた。
「…ありがとう…////」
由孝も私も、この関係に慣れるのには、まだまだ時間がかかりそう。
*Happy Birthday 2/13*
女子には慣れてそうな君が、
初めて赤面を見せた今日は、
私にとっても、特別な日になった。