第52章 *Happy Birthday 2/13*〜森山由孝〜
香奈side
「香奈ちゃん!」
「…何ですか、森山先輩。」
二月十三日。
バレンタイン前日の今日、先輩は妙にテンションが高かった。
まぁ、理由は分かるけど。
今日は…森山先輩の誕生日。
まだバレンタインではないのに浮かれてるのは、それが原因だろう。
「今日は何の日でしょーか☆」
「浮かれ過ぎて☆つけないでください。分かってますよ、先輩の誕生日でしょう?」
相変わらずの単純さに呆れる。
誕生日ではしゃぐなんて、子供ですか。
「そう!世の女子という女子が俺の誕生日を…」
「祝う事はないと思いますよ?」
「なにっ!?」
この人には常識というものがないのだろうか。
「ちなみに私もプレゼントはありません。」
「…そうなのか…」
誕生日プレゼントに対してか祝ってもらえない事に対してか、落ち込む森山先輩。
どっちにしろ、私にとっては嬉しくなかった。
先輩は、いつも可愛い子ならだれだって良さそうだし。
だからモテないんですよ。
それなら、いっそ私の彼氏になっちゃえばいいのに。
…なんてね。
「先輩、黙ってればモテますよ。多分。」
一応、顔はかっこいいんですから。
そう呟くと、先輩に手首を引っ張られた。
「ひゃっ!?」
トン、という音と共に、何かに当たる感覚。
…何で抱きしめてるんですか…
「…本当か?」
「はい?」
「その…か、かっこいいって…////」
いつもは言われたがってるのに、照れる先輩。
…耳真っ赤なの、抱きしめられてても見えるんですよ。
「…顔だけです。」
「中身は?」
「残念です。」
ストレートに言うと、うっと小さく唸り声が聞こえた。