第51章 *君だけに*〜桜井良〜
香奈「…二人きり、だね。」
桜「そ、そうですね…////」
部活後。
今日鍵を閉めるのは私なので、こうして体育館で二人きりになることができた。
香奈「その…話なんだけどね。」
緊張を吐き出すように、ふぅ、と一息吐いてから、良君と視線を合わせる。
香奈「良君、本当はずっと…好きでした。」
ずっと片想いでいいって思ってた。
けど、良君の照れた顔見たり、褒められたりしたら…
期待しちゃって、止められなくて。
この想いが…溢れて、言葉に出してしまった。
良君は、何て言うかな?
簡単じゃないのは分かってる。
けど、少しだけ…期待してもいいよね。
桜「…っ////」
突然、視界が暗くなって、良君の匂いに包まれる。
温もりを感じて、あ、私抱きしめられてるんだな、って分かった。
桜「…僕も好きです////」
抱きしめたのは、きっと照れ隠し。
真っ赤な顔が見えないようにしたんだよね?
でもよかった。
私も今、ヤバいくらい顔熱いから。
桜「だからこそ、嫉妬しました。」
香奈「…へ?」
桜「その…チョコ、他の部員にも渡したって言ってて…。
独り占めしたいって思いました…すいません。」
キュ、と抱きしめる力を少し強くする良君。
それが嬉しくて、私も良君を抱きしめた。
香奈「ん…チョコは無理でも、私を独り占めしていいよ?」
そう言ってから、なんてね、と笑う。
だけど、良君は抱きしめる力を緩めて、私を見ると、
桜「じゃあ…そうします。」
と言った。
次の瞬間、唇が温かくなったのは、きっと…ううん、間違いなくキスだろう。
*君だけの*
チョコは皆のだけど、
私は、
君だけにあげる。