第51章 *君だけに*〜桜井良〜
香奈side
香奈「良君!お疲れ様ーっ!はい、これ!」
桜「ありがとうございます!」
香奈「ちょ、頭下げなくていいって!」
タオルとドリンクを渡しただけでペコペコ頭を下げてお礼を言うのは、桜井良君。
今まで、っていうか今でもマネージャーと部員でしかないけど、私は良君の事が好き。
すぐ謝っちゃう所も、人に優しい所も、謝る割に器用な所も、バスケでは意外に負けず嫌いな所も、
全部含めて。
…なんて言えるはずもなく、私は現在、絶賛片想い中です。
香奈「今日の良君もかっこよかったよー!」
桜「あ、ありがとうございます…////」
ああもう、その照れ顔最高。
独り占めしちゃいたいくらい。
香奈「そうだ、これ。もう皆には渡したから、良君に!」
桜「へ…?なんですか?これ。」
私が渡した、リボンの付いた包みを不思議そうに見つめて、首を傾げる良君。
香奈「ほら、今日二月十四日でしょ?バレンタインチョコ!」
桜「ええっ!?僕なんかがいいんですか!?」
私の一言で、いきなり貴重品みたいに扱い始めた。
あわあわしてて可愛いw
香奈「もちろん!良君ほど上手くはないけど…」
桜「そんな事ないです!香奈さんのなら美味しいですよ!
…あっ!調子乗ってすいません!」
良君が謝り始めるけど、私はそれどころじゃないくらいテンションが上がっていた。
あの料理が天才的に上手い良君に認められたっていうのと、好きな人に私のなら美味しいって言われたので…
緊張よりも嬉しさの方が大きかった。
香奈「あ、あのね良君。」
桜「すいません!」
香奈「や、そうじゃなくて…。
部活後、ちょっとだけ話したいんだけど、いい?」
桜「はい!大丈夫です!」
良君がそう答えた直後、休憩が終わって、良君はまたコートに戻って行く。
その後ろ姿を見て、私は部活後の事を考えてドキドキしてた。