第50章 *試作品*〜緑間真太郎〜
香奈side
「ど、どどどどうかなっ…」
「…普通なのだよ」
「普通っ!?」
チョコを飲み込んだ真ちゃんが、真顔で感想を言う。
普通…。
なんて微妙な。
「普通じゃ困るの!だってこれ、バレンタインチョコの試作品だよ!?」
あたしは今、作ったチョコを真ちゃんに食べてもらっている。
というのも、明日はバレンタイン。
やっぱ、練習したいじゃん。
「真ちゃんなんか料理出来ないくせにっ!普通なんて生意気な!」
「お前が感想を言えと言ったんだろう。」
あーもう!
誰か宮地先輩連れてきて!
「…あたしは美味しいのかそうでないのか聞きたいの!」
だってこれは、真ちゃんにあげるためにやってるんだよ?
真ちゃんにとってあたしは友達だから、『普通』なんて言えるけどさぁ…
「ちゃんと美味しいのあげたいもん。」
「…好きな奴でもいるのか?」
「そうだよ!そのために練習し…え?」
…あ、口が滑った。
真ちゃんがあからさまに不機嫌そうな顔をする。
やめてよ、このタイミングで…
期待しちゃうじゃん。