第47章 *策略家の君に*〜伊月俊〜
歩く俊君の制服の袖を掴んで、引き止める。
もうすぐで、家に着いてしまうから。
伊「ううん。」
香奈「そっか…」
それなら、一度だけ…
『好き?』って聞いてみたくて、口を開きかけた。
伊「香奈、好き。」
…なのに。
彼は、あたしの勇気さえも無駄にする。
香奈「なっ…!?////」
伊「ずっと好きだった。香奈は?」
…頑張って、言おうとしたのに。
だけど、
あたしが俊君の事好きだって知ってて言わせる所も、
ダジャレが好きな所も、
時々優しい所も…
本当は、大好き。
香奈「俊君…あたしも、ずっと好きでした////
これ、受け取ってください…////」
ずっと片手に持ってた箱を、俊君に渡す。
香奈「その…ほ、本命チョコ…なんだけど////」
ダジャレ言ってて、きっと気付かなかったでしょ。
そう言って、あたしは初めて俊君に勝った気がしてた。
伊「いや、知ってた。」
香奈「!?」
伊「だって俺、この目で見えちゃうからさ。
…ハッ!バレバレのバレンタイン!キタコレ!」
…完っっ全に忘れてた。
悔しい。
そんな事を考えてると、俊君があたしとの距離を詰めた。
伊「…香奈。」
香奈「な、何?」
伊「キスしていい?」
それ、普通本人に聞かないよね…////
いざ聞かれると、恥ずかしいんだけど////
なんて思いつつ、あたしは小さく頷く。
伊「香奈、好き。」
香奈「あたしもだよ////」
『チュッ』
*策略家の君に*
策略家の君に、優しい君に、
大好きな君に、
甘いひと時を。