第43章 *甘すぎチョコレート*〜青峰大輝〜 request
「!?」
危うく、チョコを全部落とすところだった。
好っ…は!?好き!?
「なっ…!?何言ってんだよ!」
「?だから、私が青峰君の事好きすぎるから甘すぎになるのかなって…。」
「おい待て!好きってどういう事だよ!?」
当たり前のように好きだと言っていた香奈は、頭上にはてなを浮かべた。
「だから、私好きだよ?青峰君の事。バレンタインデーにチョコ渡すのは、告白って意味でしょ?」
「マジ…かよ…。」
あんまりあっさり渡されるから、まさか本命とは…。
つか、何でこいつ平気そうな顔してんだよ…。
「お前、告白の意味分かってんだろーな?緊張しねーのか?」
「ううん、すっごいするよ。渡すの、すごい勇気必要だったもん。…でもね。」
次の言葉を待っていると、香奈が優しく微笑んだ。
その笑顔にさえドキッとする。
「青峰君、甘い方が好きだって言ったから。それで、渡せるかなって思ったの。実は、まだ緊張してるんだけどね…。」
緊張してる、という言葉がだんだん小さくなって、笑顔もぎこちなくなる。
「だって、好きって言って嫌われたくないもん。」
か細い声が聞こえた時、遠野が震えてるのに気が付いた。
本当に、緊張してるんだ。
それを見て、俺は、遠野を抱きしめた。
「…青峰君?」
「その顔、お前に似合わねー。笑ってた方がいい。お、俺は、笑顔のが好きだし…!」
そういう俺も、こんなセリフは似合わないと自分で思った。
どうしようもなく恥ずかしくなる。
「…好き?」
「ああ、好き。…もう言わねーから。」
「言わないの?言ってよー。」
言わねーって言ってんのにしつこく言ってと言う香奈を、
「ねぇ、青峰く…んっ」
俺は、無理やり黙らせた。
そのキスは、溶けてしまいそうなほど甘いキスだった。
*甘すぎチョコレート*
甘い時間と、
甘いキスと、
甘すぎるほどの、チョコレート。