第43章 *甘すぎチョコレート*〜青峰大輝〜 request
青峰side
「青峰く…きゃっ!」
屋上に、ビターン!と人が倒れる音が響く。
その音に顔を上げると、学校中で『トラブルメーカー』として有名な、クラスメイトの遠野がいた。
「…またか、遠野。」
「うう…ごめんね…」
あたた、と頭を抱える遠野。
学習能力がないのか、遠野はここに来る度に転ぶ。
「青峰君とお話したくて来ちゃった。」
「あっそ。俺は話すような事はねーぞ。」
「じゃあ、私が話すね。」
ふわふわした口調と優しい笑顔の遠野は、一見女子力が高そうに見える。
…が、そんな事は全くない。
不器用だし、ストラップとかもすぐ壊すし、よく転ぶし、料理下手だし。
性格とは正反対な不器用さに、俺も最初は驚いた。
今じゃこれも日常だけどな。
「…それでねー、マスコット作ってたら針刺しちゃって、授業中に怪我しちゃったんだぁ。」
そう言って俺に指を見せてくる遠野。
遠野の細い指には、丁寧に絆創膏が巻かれていた。
「不器用なくせに、綺麗に巻けてんな。」
「ううん、違うの。友達に巻いてもらっちゃった。」
確かに、今考えれば遠野がこんな綺麗に出来るはずがない。
手当ては保健室の先生か、友達にしてもらってるのをすっかり忘れていた。