第42章 *チョコの意味*〜森山由孝〜
香奈side
二月十四日。
ついにこの日が来てしまった。
あたしとしては、ただの平日であってほしかった。
だけど、皆はただの平日と見ない。
今日は…バレンタインだ。
香奈「…うわ。」
そして、あたしの靴箱にも机の上にも中にも、大量の箱が入ってる日…。
ホワイトデーじゃないというのに、男子はあたしにチョコを渡したがる。
香奈「ホワイトデーだけにしてよ…。」
つまり、一年に二回こんな日があるわけだ。
チョコ以外告白方法はないのか。
あたしが食べる時の事も考えてほしい。
女子「あ、香奈ちゃん、おはよ〜。相変わらずモテモテだね〜。」
香奈「半分あげるよ。」
女子「そんなにもらえないよ〜。あ、五個くらいならもらえるかな?」
クラスの女子に、大量の包み紙の中から五個渡す。
香奈「あと、これはあたしから。」
女子「わぁ、ありがと〜!私もね、作ってきたんだぁ。はい!」
お互いの作ってきたチョコも交換した。
そんなやり取りを、他の女子とも何回も繰り返した。
やっと半分以下になった頃。
森「そこの君!そのチョコを」
女子「ごめんなさい、これ友達にあげるんです〜」
あたしのクラスメイトの森山が、女子にチョコを求めていた。
普通求めるものじゃないでしょ。
香奈「はぁ…。馬鹿みたい。」
実際馬鹿なんだけど。
誰にでも話しかけてて、本命がもらえるわけがない。
案の定、森山は一つもチョコをもらえてなかった。
…放課後。
香奈「森山、帰るよ。」
森「ああ…」
家が近いあたし達は、よく一緒に帰る。
どうしようもない事だけど、森山は落ち込んでいた。
森「香奈は何個もらったんだ…」
香奈「ん?あー、三十くらいかな。」
森「…そうか。」
いつものテンションはどこへやら、落ち込み方が異様な森山を見て、大丈夫かと不安になる。
香奈「森山にも分けるよ。女子からのはあげないけど。」
森「ああ…」
ちょ、落ち込みすぎて怖いんだけど。
まぁでも…逆に、ちょっと嬉しかったりするあたし。
…そろそろ、かな?