第40章 *感覚*〜赤司征十郎〜
香奈side
放課後。
部活がなくて何と無く暇になったから、少しだけ本を読むつもりで、私は図書室に入った。
『ガラッ』
さすがに図書委員も帰ってるだろうし、誰もいないかなーと思っていた。
…けど、
香奈「あれ、征君?勉強してるの?」
同じ部活の征君が教科書やノートを広げていた。
私が話しかけると、征君が顔を上げる。
赤「…香奈か。」
ちょっと驚いたような顔をする征君。
赤「珍しいな、香奈がここに来るのは。」
香奈「そうだねー。…って、何で知ってるの?」
赤「部活が休みの日はいつも来るんだ。来たら気付くよ。」
そういう事かぁ。
ふと征君のノートを見ると、細かい字がビッシリと並んでいた。
香奈「わ、分かりやすーい。」
赤「ノートは何度も見るからな。分かりづらかったら不便だろう。」
それにしても、このノート一冊で教科書になるくらい綺麗な字で、分かりやすくまとめてある。
さすがだなぁ。
赤「ところで、香奈は何をしに来たんだ?」
香奈「あ、本を読もうと思ってたの。暇だったから。」
そういえば、何読むか決めてないなぁ。
本棚には、ズラーッと本が並んでいた。
その中に、面白そうな題名の小説を見つける。
これ読もうかな。
香奈「よっと。…んーっ…」
一回ピョン、と飛んでみるけど一回かすれただけ。
椅子に乗るわけにはいかないから、背伸びをしてとろうとした。
もう少し…!
と、その時、本がひょい、と本棚から抜ける。