第38章 *近くに*〜宮地清志〜
中学が違って、あれから一度もあってないけど、あたしは嫌われなくなっていた。
そして今、高校三年生。
高校生活最後のクラス変えに、あたしは胸を躍らせていた。
「遠野 香奈…あ、あったあった。」
3年C組、かぁ。
知ってる人いるかなー、と、他の人の名前を見ていた時。
ある名前が目に留まった。
「宮地…清志…?」
もしかして…
そう思うと、足は勝手に走り出していた。
『ガラッ!』
「宮地君!宮地君はいますか!?」
勢いよくドアを開けて、宮地君を探す。
「あ?何だ、何か用か?」
「あ、あたし、同じクラスの遠野です!」
「って、隣の席か。」
宮地君に言われて黒板を見ると、確かに宮地君とあたしは隣の席だった。
それに、声はずいぶん変わったけど、この顔は確かに宮地君だった。
再開出来て、隣の席、なんて。
「宮地君…あたしだよ?
小学生の時、隣だった…香奈だよ?」
覚えてる?
あたしはずっと、好きだったんだよ…
「っ…香奈!?」
「そうだよ。宮地君…久しぶりだね。」
覚えててくれたんだ。
嬉しい。
嬉しくて、嬉しくて、涙が出てきた。
「なっ…泣くなよ!」
「宮地くっ…あたし、ずっと…助けてもらった時から…っ」
『好きでした』
そう言いたくて。
今なら、言える気がした。
だけど、宮地君に突然腕を引っ張られて、
「んん!?////」
唇を奪われた。
ふわっと一瞬だけ触れて、すぐに離れる。
「…俺が先に言う。」
「宮地君…ここ、教室…」
「いいんだよ、まだ俺達しかいないから。」
涙を拭われて、優しく微笑む宮地君の顔が見えた。
「香奈、小四の時から好きだった。…俺と、付き合ってくれるか?////」
あえて疑問系な告白も、真っ赤な顔も、ずっとほしかった。
やっと…
「うん、大好き!」
やっと、この気持ちを伝えられたよ。
*近くに*
やっと隣になれたから。
これからは、
もう、絶対に離れない。