第36章 *二人きり*〜日向順平〜
香奈side
日「…」
香奈「…」
…気まずい!!
今は、日向先輩と二人きり。
いや、二人きりなら二人きりでも全然いいんだけど。
何でエレベーターに閉じ込められてんの、あたし達!
香奈「せ、先輩…」
日「あ?何だよ」
香奈「いや、あの…故障してから、どれくらい経ちました?」
日「…まだ五分しか経ってねーよ」
ついさっき、デート中の事。
あたし達は、近くのスーパーにあるケーキ屋さんに行って、新作のケーキを食べるつもりだった。
…のに。
突然、エレベーターが故障して、あたし達二人は閉じ込められた。
エレベーターが直るのにはしばらくかかるらしく、あたし達は待つしかなかった。
それから、五分。
微妙な雰囲気になって、今までずっと無言でいる。
さすがに沈黙はキツいよ…
香奈「せ、先輩!二人きりって、ドキドキしちゃいますね〜!エレベーターの中でとか、少女漫画みたいっ!」
日「…」
…せんぱぁぁい…(泣)
香奈「…ごめんなさい…」
日「何でお前が謝ってんだよ。お前も謝りキノコなのか?」
香奈「好きで謝ってるんじゃないんですよ!でも…先輩が怒ってるから…」
エレベーターに閉じ込められてからというもの、先輩はずっと無言で、あたしの方を見ようともしない。
これは、多分…怒らせた。
香奈「あたしと二人なんて、嫌…ですよね。」
日「は?」
香奈「だから、ずっと無言で…見てもくれないんですよね。」
これでも一応カレカノなのに。
やっぱり…あたしの事、好きじゃないのかな。