第34章 *理想*〜笠松幸男〜
…パタン、という本を閉じる音が聞こえて、香奈を見る。
香奈は、いつの間にか俺の目の前にいた。
香奈「笠松…その…ごめんね…?」
今にも泣き出しそうな顔で、俺の顔を覗き込んでくる。
あまりの至近距離に、顔が赤くなった。
笠「あ、ああ…////」
香奈「笠松がいる時は、本読まないから。…自分勝手だけど、構ってほしいな…なんて…////」
だんだん声が小さくなっていく中、何とか聞き取れた。
珍しいな、香奈が赤面するの。
笠「当たり前だろ。
…だけど、今の距離は近い////」
香奈「そうかなぁ…?」
分かってて、わざと距離を縮める香奈。
こつん、と額が当たる音がした。
笠「おい////」
香奈「笠松ー…キスして?」
さっきまで泣きそうだったのに、調子乗りやがって。
まぁ、そういうとこが好きなんだけどな。
ねー、早くーとか言ってニヤニヤしてくる香奈に、
『チュッ』
俺は初めて、自分からキスした。
*理想*
確かに二次元はイケメンばかり。
だけど、
理想の彼氏は、君以外ありえない。