第34章 *理想*〜笠松幸男〜
笠松side
香奈「きゃーっ!ね、これかっこよくない!?////」
キャッキャッと騒ぎながら俺に漫画の一コマを見せてくる香奈。
香奈の指の先には、茶髪のキャラクターがいた。
笠「あー、そーだなー」
香奈「ちょっ、棒読み!?ひっど!」
ひどいのはどっちだ。
彼氏といて…まして、彼氏の家で。
そこでも漫画を読むか、こいつ。
俺が唯一話せる女子、香奈は、俺の彼女でもある。
幼馴染だった俺達だけど、バレンタインの時、告られた。
俺も香奈の事が好きだったから、付き合う事になったんだが…
こいつは、とんでもない二次元バカだ。
二次元の男子を見てはかっこいいやら可愛いやら騒いで、彼氏にしたいとか言い出す。
俺は正直、香奈の趣味を否定するつもりはないが、俺の前で本を読むのはやめてほしい。
香奈「きゃーっ!見て見て、この人ツンデレー!ヤバくない!?萌えない!?」
笠「あ?全然分かんねー」
俺が本当の事を言うと、
香奈「何で笠松冷たいのさっ!」
と怒られた。
怒りたいのは俺だよ。
笠「お前が悪いんだろ。」
香奈「え?それ、どういう…」
笠「自分で考えろ。」
そう言って、俺も香奈と同じように本を読み始めた。
香奈「ね、笠松これ…
あ、ごめん…」
俺にまた本を見せようとするけど、すぐにやめる香奈。
しばらく、沈黙が続いた。