第33章 *夢見心地*〜伊月俊〜
香奈side
バタバタバタと、早い足音。
息も絶え絶え、私はある場所へと走っていた。
その場所に、もう彼はいた。
香奈「伊月君ー!」
伊「香奈!走ってきたのか?」
香奈「うん…ごめん」
少しの間息を整えて、話せるようになる。
香奈「あの、今日、ワンピースだから、時間かかっちゃって…。」
私が着たのは、水色のワンピース。
背中にあるファスナーに手が届かなくて苦戦してたら、少し遅くなってしまった。
でも、伊月君なら許してくれるかな、なんて思いつつ伊月君を見ると、
『トンッ』
…まさかの壁ドン。
香奈「ちょ、いいい伊月君!?////」
えっ!?
お、怒っちゃった!?
っていうか、周りの視線が…////
伊「言い訳言って、いいわけ?」
なんか、いつもと口調違うし、やっぱり怒…
香奈「…って、ん?」
あれ、今のって…
伊「よっしゃ!キタコレ!」
…だ、ダジャレ!?
香奈「伊月君のバカ…////か、壁ドンする事、ないでしょ////」
伊「ごめんごめん。さ、行こっか!」
壁ドンするかダジャレ言うかどっちかにしてほしいけど、どっちもしてくれるのが伊月君らしくて、私は嬉しかった。
伊月君の手を取ると、絡み合う指。
その感触さえ、温もりを感じれた。