• テキストサイズ

Sweet Love*

第32章 *10個*〜森山由孝〜


香奈side


「はぁ…」


お店の商品をぼーっと見つめながら、それとは関係ないことでため息をつく。

ここ最近、ため息が多くなった。

原因は分かってる。
けど、簡単にどうにかできるようなものではないのが現状だ。


「全部、森山先輩のせいです…。」


「呼んだ?」


「きゃあ!?」


独り言を呟いていたら、私の二つ年上の彼氏、森山先輩が後ろから抱きしめてきた。

驚いて大きめの声を出してしまい、一部の人にちらっと見られる。


「先輩!脅かさないで下さい!」


「悪い悪い。買いたいの決まった?」


中身のない謝罪をして、さっさと話を進める。
自己中…そんな言葉が脳裏を過った。


「あ、はい…。」


しょうがないから、答える。
なんかもう、怒る気さえ失せてしまった。


「先輩は決まったんですか?」


私は同じことを聞くけど、すぐに後悔した。


「いや、俺は買う予定はない。それより、可愛い子見つけたんだ!茶髪でふわふわの髪の…」


「もういいですから!」


先輩だからって容赦はなし。
今この場では彼氏なんだから。

…森山先輩と付き合い始めて、三回目のデート。

緊張しないことはないけど、いつも森山先輩が台無しにするから、期待はしてなかった。

今日だけで、可愛い女の子がって聞くの、もう五回目。


「はぁ…。私、レジ行ってきます。」


ため息はもっと多い。
更にため息の数を増やした私は、レジへと向かおうと一歩踏み出した。

…けど、森山先輩に引きとめられる。
/ 410ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp