• テキストサイズ

Sweet Love*

第31章 *キミ不足*〜黄瀬涼太〜


「もう大丈夫ッスか?」


「ん…」


さっきまで喧嘩してたのに、あたしの涙を拭ってくれる黄瀬君の事を、やっぱりあたしは嫌いになれない。


「…黄瀬君。」


「ん?」


ポンポン、と頭を撫でていた手を離して、真っ直ぐ見つめられる。
あたしも、黄瀬君を真っ直ぐ見た。
告白以来かも、こんな事するの。


「ごめんね。あたしが悪かった。…気づくの遅いよね。」


ズキンズキンと、胸が痛む。
お願い、まだ嫌いにならないで。
あたし、黄瀬君の事…

好きだから。


「ううん、俺の方こそごめん。…香奈、傷ついたっスよね。本当は香奈の事、好きっス。」


「…黄瀬君は、優し過ぎるよ…」


また泣きそう。
…でも、あたしにはまだ言いたい事があるから。

泣くのはもう少し我慢。


「黄瀬君、これからは、好きなだけあたしに触れていいよ?」


「っ!ほ、本当っスか!?」


「うん。」


今まで冷たくしちゃった分、これからは優しくしたい。


「なでなでするのも?」


「うん。」


「ギューってするのも?」


「う、うん…っ」


「じゃあ…」


黄瀬君は、あたしを壁に追い詰めて、あたしの顔の横に手をついた。
…これが、壁ドン…なのか。


「俺、香奈不足なんスよ。」


「そ、そうなんだ…」


そんな事言われたの初めてで、緊張する。
自分の心臓の音が、頭に響くくらいうるさかった。


「だから、香奈がもっとほしい。」


「え、えっと…っ」


「拒否権なんてないから。」


いつもと違って、真剣な黄瀬君にもドキドキしちゃうなんて、あたしよっぽど黄瀬君が好きなんだろうな。

そんな事を考えながら、黄瀬君に触れられる度にあたしは顔を真っ赤にした。


*キミ不足*

まだ、これじゃ足りない。
今までの分の君が、
もっとほしい。
/ 410ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp