第4章 *目覚まし feat.緑間
──好き…か。
香奈を見るたびドキドキするのも、さっきみたいに触れたくなるのも。
好きだからだったなんて、思いもしなかったのだよ。
「…う、うそ、き、キス…した…?」
キスの後の香奈は喜ぶどころか、驚きと恥ずかしさと、それをどこか受け入れられないような感情が入り混じった、不安げな瞳で俺を見つめていた。
予想外だったわけじゃない。
そうだろうな…と、どこかで予感していた。
幼馴染という壁は、そう簡単に越えられるものではないのだ。
香奈は、「友達以上恋人未満」という言葉がお似合いなこの関係がずっと続くと、そう思っていたのだろう。
「香奈…好きなのだよ。だが、キスした後で悪いが…忘れて、くれないか。」
これからも、幼馴染でいてほしい。
そんな俺の願いを、香奈は、
「…やだ、忘れない。」
拒否した。
「…分かった。香奈、本当に…」
「だって私も、真ちゃんのこと…好きだから。」
言おうとした謝罪の言葉は、香奈の告白(ことば)にかき消され。
今度は、俺が顔を真っ赤にする番だった。
「なっ…香奈、す、好きってどういうこと、なのだよ…?」
「あはっ、さっき真ちゃんも言ったのに〜。だから…真ちゃんと同じ気持ち…なんだって。」
だから、と香奈は付け足し、
「これからも毎日、起こしに来てねっ!」
幸せそうな笑みで言った。
*目覚まし*
幸せそうな寝顔を見れるだけで、
毎朝起こしにくることさえ、
全く苦痛じゃなくなるのだよ。