第28章 *裏表*〜木吉鉄平〜
木吉side
木「香奈!おはよ。」
朝、廊下で見慣れた後ろ姿を見かけて、その頭に手を置く。
振り返って見えたのは、予想通り、俺の彼女の顔だった。
香奈「朝から何してんの、木吉。」
木「何って、撫でてるだけだぞ?」
香奈「…この天然。」
香奈は、俺が頭を撫でると心底嫌そうな顔をする。
…っていうか、俺って天然なのか?
香奈「…木吉。」
呼ばれて香奈を見ると、さっきの嫌そうな顔じゃなく、真っ赤な顔をしていた。
視線を俺から逸らしつつ、俺の制服の袖を引っ張る。
何かしてほしい時の、香奈の癖だ。
香奈「…耳////」
木「ん?」
俺は、香奈と同じ高さになるまでしゃがみ込む。
香奈は、俺の耳に顔を近づけて、
香奈「今、ここではダメ。その…部活の後、ね?」
と、小さな声で俺に言った。
香奈「じゃ、じゃあね!////」
それが余程恥ずかしかったのか、走って自分の教室に入る香奈。
俺はその後ろ姿を見て、放課後が楽しみで仕方なかった。