第5章 会長の責任*跡部
"ミーン ミーン"
暑い夏。
本当に本当に暑い…。
うざったい蝉の声が私が今いる生徒会室にまで響き渡っていた。
でも、外の熱気とは裏腹に、この生徒会室は冷房バッチリでとても快適だった。
なぜかって…?
それは、、、
跡部「おい。去年の会計のデータまとめておけ」
氷帝学園の生徒会長様である跡部 景吾さんがいるからだ。
そして、生徒会長である前に、私の彼氏でもある。
でも、跡部さん自身、私の事を彼女とは思っているのか…。
今も長い足を優雅に組み、紅茶をすすりながら私に向かって大量の書類を差し出してきた。
○○「あ、えっと…今日中ですか…?」
こんな量…今日中に終わるわけ…
跡部「あーん?当たり前だ。今日中に生徒会顧問に提出しなきゃなんねぇんだからな」
下校時間大幅オーバー決定。
○○「…了解です…。」
跡部「ふっ。頼んだぞ…。」
そう言うと私の頭にポンと優しく手を置いた。
そしてそのまま自分の方へ私の顔を向かせる。
○○「あ、跡部さん…?」
何をするのかと思ったら急に跡部さんの顔が近づいてきた。
そして、唇が触れ合う。
突然のキスに目が大きく見開かれる。
ちゅっと言う水音を発して唇が離れた。
跡部「…ん、はぁ……。随分色気の無い顔だな。…まぁそんなところもお前らしいが…。」
○○「っな!!」
ひ、ひどい!
わざわざ言わなくても!
恥ずかしさと怒りからか私は自分の顔が真っ赤になったのを感じた。
跡部さんは面白そうに笑いながら私の頬をツンツンする。
○○「跡部さん…や、やめてください!」
跡部「景吾。二人きりの時はそう呼べといつも言ってるだろ。」
○○「け、景吾…さん。」
私が下を向きながら小さな声でそう言うと跡…、景吾さんは満足そうに出入り口のドアノブに手をかけた。
跡部「少し出てくる。しっかり仕事してろよ。」
○○「あ、はい。」
景吾さんは生徒会室を後にした。