第7章 宿泊してみました
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若松「…大丈夫か?」
『だ、大丈夫…じゃないです…』
自分でも顔色が悪い事ははっきり分かる。あたしは高所恐怖症だった。ああもう、何で足が浮いてるのよ!!!
すると不意に左手に違和感を感じた。若松さんの右手があたしの左手を握っていたのだ。
若松「こ、これで少しは気が紛れるか?」
『は、はい…』
手袋のせいで温度は感じなかったけど、左手の温度は少し上がったように思えた。
それからの沈黙。や、やばい!何か話さないと…
『しっ、真ちゃん大丈夫かな!?』
若松「お、おう!って…緑間?」
『はい。真ちゃん、あたしより高所恐怖症ですから』
するとタイミングよく後ろから声が聞こえてきた。
「ミドリーン!大丈夫ー!?」
「だ、大丈夫に決まってるのだよ!なぜなら今日の占いは1位な上にラッキーアイテムのドクロリングで補正されているのだからな!」
「…ヤッ〇ーマンですか?」
「そんなわけないのだよ!」
『あちゃー、やっぱり真ちゃん怖がってるなぁ』
若松「そうか?俺にはそうは見えないけど。つーか声だけでよく分かるな」
『伊達に5年間も一緒に過ごしてませんよ。真ちゃんが饒舌になる時は心境に変化がある時限定ですから』
若松「変化?」
『怒ってる時とか、びびってる時とか…確かに真ちゃんは堅物ですが、慣れれば真ちゃんほど分かりやすい人はいませんよ。まぁそこが可愛いんですけど』
若松「よく見てるんだな」
若松さんに頭をポンポンとされた。やっぱり先輩だからなのか、どことなく大輝と似ているかも。
というか、若松さんと話していると怖い気持ちもいつしか消えていた。
そしてどうにかリフトを降りると、いよいよスノボのレッスンが始まった。