第11章 あの日の続きを
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『ふふっ、何それ。喜ぶとこ、そこなの?』
「…うるさいよ。僕がどれだけ名前で呼ばれるのを待っていたかなんて、知らないからそう言えるんだ」
『くすっ…大丈夫だよ、征十郎。これからたくさん、征十郎って呼ぶから』
「…僕から離れるなんて、許さないよ」
『うん。あたしもやっと初恋が実ったんだもん。そう簡単に離さないよ』
あたし達はお互いの視線を交え、どちらともなくキスをした。
触れるだけの優しく甘いキスを、何度も何度も。
『…征十郎ってキス魔だったんだね』
「以前僕が言っただろう?言葉ではなく本能に聞くのが一番だって」
『それ、持論でしょ』
「僕の持論だ。間違ってるわけがないだろう」
『それは凄いですねー』
征十郎は部室にあったバスケットボールを持ってきて、1人でシュートの練習をしている。
練習と言ってもうますぎるから、入れて遊んでるようなものだけど。
「あぁそうだ、」
『何ー?』
「僕の部屋に住みなよ」
『…は?』
「どうせ結婚するんだから、今のうちから同棲を始めても構わないだろう?」
『けっ…!?ちょっと待ってよ!家賃とかの問題もあるし…』
「それはが気にする事じゃない。僕の部屋なら1人くらい増えても問題ないよ。使ってない部屋もあるから」
『ちっ、ボンボンめ…』
「何か言った?」
『何でもないです』
どうやら、あたしの意見は聞いてくれないようです。