第11章 あの日の続きを
『よくここが分かったね。体育館倉庫前としか言わなかったのに』
「僕との間に思い出があるとしたら、中学の頃だろう。帝光中の、ということはすぐに分かったよ」
『あはっ、さすが天才』
「…それに、これはあの時と同じなんだろう?」
『…正解。ほんと、天才は嫌になるな』
あたしが赤司君にこっぴどくフラれた時と全く同じ状況。違うのは年齢と、赤司君の雰囲気。
あの時のような刺々しい雰囲気ではない。
「…それで、話ってなんだい?」
『…あたしはただ逃げてただけだった。あの時から恋愛するのが怖くて、またあんな思いをするんじゃないかって。だけどあたしは間違ってた。今のままじゃ何の解決にもならない』
「…」
『本当は分かってたんだ。あたしが赤司君を恨めない事くらい。赤司君を忘れられない事くらい。…赤司君を嫌いになれない事くらい』
「…」
『赤司君はあたしの初恋の人だもん。それでもその思いを邪魔したのはあたし自身だった。認めようと思っても、あたし自身が否定する。次第にもう全部がめんどくさくなった』
「…本当にすまない事をした」
『やめてよ、もう。最初から赤司君は何もわるくない。こうなったのは、全部あたしの弱さが原因。あたしはこんな自分がずっと大嫌いだった。だからもう、自分を嫌いになりたくない。だからあたしは、自分に正直になろうと思う。
あたしは赤司君の事が、すk』
"すき"
たった2文字が言えなかった。言葉を繋ごうとした唇が、赤司君の唇によって
塞がれたから。
そしてギュッと抱きしめられた。