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隣を歩くのは

第11章 あの日の続きを


『…ふぅ』


大学の講義も終了し、一目散に教室を出た。幸いな事に、この日の最後の講義は赤司君とは別なのだ。





辿り着いた約束の場所にまだ赤司君は来ていなかった。もしかしたら来ないかもしれない。赤司君の授業が終わるまであと、30分。

あたしは昨日の事を思いだしていた。






――――――――




「…分かってるなら、お前が何をすべきかももう分かってるんじゃねぇのか」

『…分かってるよ。けど…』



大輝の言葉に上手く返せない。あたしの中の罪悪感がそれを邪魔する。



「…"頑張れ"」

『…へっ?』

「んだよ、そう言ってほしいんじゃねぇのかよ」

『そうだけど、何で…』




大輝はあたしの頭をわしゃわしゃと撫でる。乱暴な大輝の手は、いつもより大きく感じた。




「何年一緒にいると思ってんだよ。お前が俺の事をちゃんと分かってくれてるように、俺もの事ちゃんと分かってるからよ」

『大輝…』

「はもう十分に頑張った。力にはなれなかったけどよ、俺がちゃんと分かってるから。だからもうこれで最後だ。"頑張れ"」

『大輝…ありがとう、本当にありがとう…大輝がいてくれたおかげで今のあたしがいるんだね』

「は?別に俺は何も…」

『ううん。あたし、大輝の笑ってる顔が大好きだよ。あの時も、大輝が隣で笑っててくれたから頑張れた。これからもずっと、笑顔でいてね』

「…たりめーだろ。お前が赤司とどうなろうが、俺はの傍から離れねぇよ。嫌がってもずっと一緒にいてやる」

『あはっ!それはあたしの台詞だよ。大輝の彼女があたしの事煙たがっても、ずっと付き纏ってやるんだから!』




あたし達は、お互いに笑い合い、体をくっつけた。恋人でもないのに、ましてはもう子供でもないのに、大輝との付き合いはやっぱりおかしいかもしれない。

だけどこれがあたし達だ。



何年経っても、何年経とうが変わらない。

これがと青峰大輝だから。








――――――――――





昨日の出来事を思い出していると、ザっと足音が聞こえた。









「すまない、遅れてしまった」




『…来てくれてありがとう、赤司君』








あの日の続きを新しく描こうか。
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