第30章 学園祭の時間③
メインボーカルはお兄ちゃんと渚だ。
渚『では、3-E、二曲続けて唄います。』
カルマ『あと…初めの曲は、俺の大切な人に向けて唄います。』
楓『では、クエッション、バイバイ イエスタデーどうぞお聴き下さい!』
演奏がはじまる。
ひなの『ね、素直になれないお兄ちゃんの精一杯を聴いてあげてよ!』
お兄ちゃんの歌声が聞こえる。
カルマ『君の事ばかり思ってる、他の事見えなくなってる…必ずそのハート射止める…誓う…。』
お兄ちゃん……。
学秀『はじまったのか…。』
『学秀…。』
カルマ&渚&楓『クエッション…クエッション…僕は。
クエッション…クエッション…一体、クエッション…クエッション…君の何を知っていたの?
クエッション…クエッション…』
学秀『赤羽の所に戻りたくなったか…?』
『…………。』
カルマ『君だけに認められてたい。君だけの特別でいたい。かっこいいとこ磨いて全力…アピール!…』
お兄ちゃんと目が合う。
トクン………。ずるいよ…。私は、もう、復讐のためだけに生きるって決めたのに……。
コロ先生は磯貝君の叩くドラムの一つに化けて嬉しそうにしている。
学秀『まぁ……。』
振り返り様に私は学秀に抱き寄せられる。
観客はみなステージに夢中だ。
私は、すぐさま、学秀の胸に手をつき、
『今は、こんな場所で、こんなこと…良くないよ…。』
私はお兄ちゃん達の二曲目を聴かずに体育館を出た。